億年時計

 『日本沈没』は「100万年単位で起こる動きを1年の設定にし」てあるのだそうだが、宇宙や地球の歴史を見ていると、「アッと言う間に」とか「瞬時に」という瞬間というのは『万年』を単位としているようだ。万年単位では株価のグラフのように上下に細かく動くだけで、総合的な流れは最低でも億年単位でないと判別できない。
 地球から見れば人間の一生は蚊の一生と同じぐらいの目にも止まらぬ早さでしかない。時間という価値観を人間の視線だけから判別してはいけない。宇宙や地球の時間の流れは恐ろしくゆっくりしているのだ。人間が世故世故しすぎている。余りにもギャップがありすぎて誰にも想像もできない時間の流れの中で、みんなは焦って犬掻きをしているだけなのだ。ちっとも前には進めない。
 
 億年単位で地球を振り返ると地球が普遍の美しさを保っていたことは一度もなく、何度か地球上の全生物の90%以上を死に至らしめている。冷凍庫だったりサウナだったりを繰り返しているのだ。安定期はなく、どこかで何かのバランスが崩れれば瞬く間に(もちろん万年単位で)地球の環境は一変する。人類だって地球のバランスを崩すそんなファクターのひとつでしかないのだろう。恐竜がかつてそうだったように、人類も存在そのものが悪影響を及ぼすに違いない。それが地球の歴史だったりする。
 
 で、現在だが、地球上に氷河があることは珍しい出来事に属すらしい。普通に氷河がなかった時の方が多かったというのだ。だから、ヨーロッパやカナダにまだ氷河があると言うことは、今もまだ氷河期であるとも言えるし、少なくても氷河期の名残の季節なわけでこれからドンドン暑くなったとしても不思議ではない。
 
 氷河の有無から地球の未来を予測するのは蹴飛ばした下駄の表裏で明日の天気を予想するのと同じくらいに無謀だが、入門書をチラチラッと見た限りでは、地球について何もわかっていないということだけが断言できるようだ。