ゴッド・ハンド

 自転車のブレーキを修理する。前輪のブレーキ・ワイヤーが切れたので、補修部品をホームセンターで買ってきた。初めてだったが意外と簡単だった。
 
 機械の修理は割と得意だ。『神の手』の持ち主と言っても過言ではない。微妙な調整なんて感だけでドンピシャリである。器用ではないが、それほど不器用ではない。工場で稼働している機械なら下手な修理工よりは上手い。
 
 だから、自転車のブレーキなんてのはちょちょいのちょいだ。
 
 しかし、電気回路は修行が足りなくて、失敗続きだ。成功した試しがない。
 
 さらに、プラモデルなどの模型は苦手だ。丁寧に丁寧に作っても、なぜかちゃんと動かない。小学生の頃に初めて作った戦車のプラモデルがいけなかったに違いない。キャタピラが重くて動こうとしてくれなかった。あれ以来ケチが付いている。
 
 大分前のことだが、本屋で鉱石ラジオのキットを売っていたので、凝りもせず挑戦したのだが、ウンともスンとも言わなかった。
 
 きっと『神の手』からは強力な電磁波が出ているんだろう。致し方ないのだと思う。