家中味噌臭い

 料理熱が冷めてしまって大分経つ。最近ではほとんど台所には立たなかったが、久しぶりにどて煮を作った。豚ホルモンの赤味噌煮で、これに普通のおでん種を入れる。本当は子供のころからおでんと言えばこれであって、関東煮は東京に行って初めて食べた。
 
 去年オープンしたジャスコでは当初豚ホルモンを少ししか並べていなかったが、最近では山ほど積んで売っている。この地方の郷土料理の代表格なんだろう。
 
 味の味噌は味噌である。辛い赤味噌と砂糖の甘さの微妙なバランスが決め手となる。先日も123パークで地元の人がどて煮をご飯にかけた『どてメシ』を売っていたが、他所で食べると概して甘い。既製品のどて煮用の味噌を試してみても、納得できない。これだけは自分のが一番うまいと思っている。
 
 WEBで調べると、しょうがを入れるとあったので、先ほど試したが、お上品な味になってしまった。私の求める味は都会風ではなく、味噌と砂糖の泥試合のままが良かった。ねぎをかけるなんてのも家庭ではしない。
 
 食べた分だけ具を足しながら毎日煮込めば味に深みが出てくる。ところが息子は『どてメシ』が大好物で、まだ味が十分に浸透していないのに、夜中に台所に忍び込んでどて煮の汁をどんぶりメシにかけて掻っ攫っていく。正直これには大変迷惑しているのであった。いつも最初から作らなければならないのだ。煮込むなどとのんびりしたことはやっていられない。作る気も失せる。
 
 内緒の話、砂糖には愛用のオリゴ糖を使っている。食べた人は知らず知らずに便通が良くなっているのに、まだ誰も気がついていない。仕返しではなく、あくまでもみんなの健康に気を使ってのことだ。