白い壁は落ちなかった!
日頃気弱で真面目な私はお医者様に逆らうなんてことはあり得ない。いつも殊勝な顔でお医者様の言いつけを守る。
しかし、たまに馬鹿をやりたくなる。
血圧が高いので定期的にお医者様に行って薬をもらう。真面目に飲んでいないので間延び気味だが。
今日は今日とて薬をもらうだけのつもりなのに無料の定期検診をして行けと強制された。
採血されながら看護婦さんの問診に答える。
「何歳ですか?」
「36歳です。」
カルテを見ていた看護婦さんの手は一瞬止まるが冷たい視線を投げかけるだけ。
体重計に乗る前に「少し太りましたね」と軽いジャブを返される。
本当は太め維持なのに。
心電図をとられながら
「身長はどれだけでした? だいたいで結構です。」
「196cmぐらいかなァ」
重くたれ込めていた診療室の空気が一瞬にして凍りつく。看護婦さんの誰も突っ込んでくれない。
さて、本丸。ここで一気に看護婦おばさんたちの人気を取り戻したい。???
失意のままお医者様の前に座らされる。
お医者様がきく。
「最近、体の調子はどうですか?」
「風邪気味ですが、医者にかかるほどではないです」
お医者様は微動だにしないで切り返す。
「うがいをちゃんとしてくださいヨ」
うちに帰って早速検便を採取した。