勇者募集

 中国王朝の滅亡の一因として大昔は美女、宦官だったが、近くなるにつれ官僚が台頭してくるようになる。同じ体制が長く続くと官僚は保身に走り、行政組織が動脈硬化をおこす。一時的な社会的混乱を覚悟して時折官僚組織を破壊するほうが理想的な社会を作れるのではないかと勘ぐってもいる。
 
 しかし、官僚組織は強い。勇敢な政治家が戦いを挑み、ほとんどが敗れ去っている。
 
 最近では、長野県知事がそうであろう。就任早々から官僚との戦いであった。旧態依然の行政を覆そうと意気込んでいた。しかし、詳しくは知らないので失政もあったのだろうが、官僚が県議会を味方にして前知事を追い出す工作を執拗に繰り返し、ついに成功している。
 
 普通のまともな政治家は官僚に逆らわない。最近、この地方で騒がれているニュースでは、数億円にも及ぶ官僚の組織的な裏金作りを知っていて知らぬ振りをした前岐阜県知事がいる。彼が罪に問われるのかは知らない。しかし、官僚と戦おうとしなかったその政治姿勢は政治家ではなく、官僚そのものでしかなかった。正そうとしなかったことは選挙民に対する重大な背信行為だ。
 
 現政治家では一敗地にまみれながら一応復活した北海道の政治家がいる。最初の敗戦は高級官僚と戦い、その陰謀に巻き込まれたことが原因だった。
 過去に列島改造を旗印にした政治家が収賄の罪に問われて失脚している。
 罪は罪として認めるとしても、仮定として、もしこの二人が親官僚派だったら、他の大多数の政治家と同様に密告されなかったかもしれない。官僚と仲良くしていれば、おいしい汁だけを吸って大きな顔をして居続けられたのかもしれない。ほとんどの政治家は官僚に飼われている。
 
 官僚にはその力がある。日本の官僚組織は敗戦でもしぶとく生き残ってしまった。今や日本の官僚は敵無し。失策を繰り返しても責任を政治家に押しつけて知らん振りをしている。政治を動かしているのは官僚であり、長く政治家はお飾りでしかなかった。政治家のほとんどが官僚の出身だ。戦おうとする政治家は見当たらない。次期総裁候補の誰にもその姿勢が見えない。
 
 今、日本に政治はない。