異説珍説

 冒頭のダイイング・メッセージからつっかえてしまった。ご老体があそこまで変な格好をしなくてはいけない理由が理解できない。「ダ・ヴィンチの謎を解け」とか、そんな言葉で充分伝達できたのではないだろうか。
 そんなこんなで読み進むと誇大表示ばかりが目についた。
 
 仏教は各宗派が乱立している。昔は正当性を主張して争ったことがあるらしいが今ではお互いに容認している。仏教ではカトリック教会の教皇のような絶対的な権威を擁立してこなかったので、ついには誰もとりまとめることができなくなってしまったのだ。
 紆余曲折はあるものの宗教革命まで教皇の権威は絶対だった。それまでの多くの異端をすべて排除してきた。新約聖書の一編として認められている以外にかなりの数の福音書が捨てられ抹殺されたきた。その選択においては宗教として有用かどうかが一番の判断基準で、キリストの本来の姿が描かれていることは二の次だったと思う。
 話題になっている問題も有名な異説であり、取り立てて新鮮味はないはずだ。なぜキリスト教をほとんど知らないはずの日本人がこの本をここまでもてはやすのかその理由が理解できない。キリスト教について間違った概念を植え付けることも確かにありだろう。