眠れぬ司書の悩み

 かの国を訪れたことも図書館事情に詳しくもないので推測未満の推理になってしまうが、貸し出しをする前にすべての本を補強しているのではないだろうか。補強のしてない貧弱な装丁の本は大勢の人の手を回っている内にすぐにも解(ほぐ)れて、最悪の場合最初に挟み込まれたページでトリックがばらされ犯人は逮捕されてしまったりする。日本という野蛮な国の本は、特に、装丁がやぐくていつも司書は困っている。
 
 一番簡単で最適な補強をするには、本をまずバラバラにして装丁をやり直すこと。その際、日本語を判別できないかの国の司書は日本という国が特殊な縦書き文化の国であるとは知らない。表紙を常識とは逆につけるとは夢にも思わない。送られてくる日本の本は、なぜ、すべて間違えているのだろうかと悩み始めると夜も眠れない。地の果てる国の出版社は装丁の仕方を知らなくてアメリカにお願いし、アメリカではいたずらにワザと間違えて表と裏を逆にし、文化不毛の地ではそれをありがたく本棚に並べる。誰も読まないから違えていることを日本人は知らない。日本では本は並べてベッドにするためなのだろうと結論づけると安心して眠れる。
 
 第一、書棚に並べて表紙の付け方が右だったり左だったりするのは不自然で美しくなく、とてもとても不都合に過ぎる。神経質なその司書は本を並べていてきっと胃が痛くなってしまう。その前に製本し直すに限る。
 
 それにしても、日本の漫画はなぜ左右逆に製版してあるのだろうかと最近のジャパニーズ・アニメ・ブームで目のクリクリとした少女漫画を見るたびに疑問に思う。日本はおかしな国だ。左利きが多いのか。そうそう、車も左を走るという。イギリス野郎より非道い人種らしい。
 
 本自体が小さな漫画で綴られている。漢字というらしいが、ピラミッドの象形文字のほうがわかりやすく、綺麗だ。きっと本を読めるのは余程のオタクだけだろう。カクカクだったりグニャグニャだったりして統一感が全くないのは如何なモノか。
 
 そうそう日本の本を借りていく日本人もみんな××だ。本当に日本ではあんな輩が巷を彷徨しているのだろうか? 日本は××で○○な国なんだ。
 
 夢の中に犬を連れた変な日本人のおばさんがあっちこっちから出てきて迫ってくる。ケタケタ笑う色んな顔がグルグル回ってうなされる。寝るのが怖い。怖くて眠れない。困った。
 
 そろそろ止めないとどこまで行くのか書いていて自分が怖い。地球の反対側から追いかけてこられそうだ。
 
 だから、おわり。
 
ちなみに「やぐい」は『モロい、壊れやすい』の意味で完全な名古屋弁