巨大ショッピングセンターの空気

 近くに巨大ショッピングセンターが誕生して1年半が経過した。大きい大きいと感激していたら、このグループでは中規模でしかなく、これからはもっと大規模な店舗を展開していくのだそうだ。テンポ良く?
 それでも近くのショッピングセンターは土日ともなると駐車場が満杯で、巨体は一万人ぐらいを呑み込んでいるのではないかと思う。ホントカイナ?

 買い物だけではなく暇つぶしにブラブラと店内を歩く。するとオナラが下半身で鳴る。体調が悪いからではなく、健康な証拠だからだろう。臭いがなければよりベターだ。前日の食事に肉類が多いとイヤな臭いが増す。日本人だなァ。
 
 私がそうだから考えてしまうわけではないが、この建物の中で同時に何人がオナラをしているのかと想像すると面白くなる。密閉された空間に一万人が蠢いている。外気より確実にメタンガスは濃いはずだ。
 1時間に10%の人が一回オナラをするとする。千人だ。1分に大目で20人。3秒に一人はオナラをどこかで誰かがしている。書店ではこの確率は1000倍になるのだろうが、絶対数が少ない。
 
 歩いていれば、例え臭いを感じなくても誰かのオナラを嗅いでいる可能性はかなり高いだろう。本屋では他人になすりつけるためにオナラをしながら歩き回っている。
 家の中ではこもってしまう臭いも店内では直ぐに掻き消されてしまうのが嬉しい。

 愛犬の鼻先でぶちかますことがあるが、とてつもなく臭いオナラでも愛犬はキョトンとしている。クサいと感じないらしい。人間だってそれほどオナラの臭いに敏感ではないのだと買い物しながらしみじみ思う。

 この空気がどこに行くのだろうかとふと天井を見上げる。3階の吹き抜け。軽いメタンガスはあの手の届かない天井近辺で漂っているのだろう。それともオナラの証拠を揉み消したいショッピングセンターの陰謀に巻き込まれて換気されてしまっているのか。

 そこでは自分のオナラがどの程度に臭かったのか確認できないのが残念だ。