健全な政府のあり方

 子供が増えないのは将来の展望が拓けないから。
 
 子供が二人までならどうにかこうにか大学にまで行かせられるかも知れない。それだって怪しいモノだ。いつリストラされるかと冷や冷やの20年間を過ごすことになる。共稼ぎをしながら子供を育てるのは大変だ。子供の成長に従って、登校拒否やいじめ、進学等々と心配の種は尽きない。
 子供二人を育てるのさえ、自信満々の夫婦なんてほとんどいないだろう。落ちぶれないセレブは少ない。何時も何処かで色んなバブルが弾けている。長年に渡って順風満帆で問題のない家族なんてあり得ない。社会環境が好転することはまずないだろう。生涯設計をしようにもお先真っ暗では明日の身さえ定かではない。
 
 そんな情況で誰が三人、四人と子供を産めるのだ。
 現実問題として、親と同居で親が資金援助をしてくれて孫の世話までしてくれるのなら、ある程度可能かも知れないが、核家族ではどう転んでも多くの子供を育てることはできない。共稼ぎは出来ないし、片親が倒れた時にどうするのかとか問題は山積みだ。今の受け皿には誰も満足していない。一定の生活水準を保ちたいのならば、子供の数を絞るしかない。
 
 政府が本気で少子化政策に取り組むのであるのなら、核家族であっても、二人ではなく、数人の子供でも成人まで安心して育てられるシステムが必要だ。精神的、労力的、金銭的な不安を取り除かずに産めよと言われても誰が産めるモノか。24時間完全保育、大学卒業までの教育費完全無料化、子供の生活費の支給・・・。不可能ではあっても、そこまでしてくれないことには未来に希望が持てぬこと故子供を欲しくても産めない。将来を見つめることの出来る健全な思考の持ち主ならば早めにどこかでストップをかけてしまうだろう。
 
 核家族で同居する親がいなければ、政府がその代わりになる養育システム「祖父母に任せて」を発動しよう。育てることの問題が解決されなければ、産むことはできない。
 
 政府が何処まで本気なのかは知らない。いつものことながらお題目の合唱で終わりそうだ。このままでは少子化にますます拍車がかかることだろう。
 戦前とは違って、政府が「産めよ、増やせよ」と号令をかけても誰も追従しないのだ。貧窮生活に耐えよと言っているのに等しい。もう軍国主義の時代ではないことをどうしてわかっていないのだろうか?
 
 
 両親共にキャリアを積み重ねながら、数人の子供を安心して育てられる万全の環境があって初めて子供が自然に増えてくることだろう。政治って談合だけじゃなくてインフラを整えることなんてのもアリだよね?